ブラジル電気通信庁(ANATEL)は9月27日付プレスリリースで、第5世代移動通信システム(5G)周波数帯の入札を公示した。10月27日に参加希望企業から入札書などを受理し、11月4日から審査を開始して落札者を決定する。今回の入札では700メガヘルツ(MHz)、2.3ギガヘルツ(GHz)、3.5GHz、26GHzの周波数帯(それぞれ契約期間は20年間)が対象。
ANATELは上述した4つの周波数帯の最低入札価格を合計で106億レアル(約2,141億円、1レアル=20.2円)に設定した。さらに、ANATELのレオナルド・モラエス長官は9月24日の会見で、「各周波数帯の落札者に対して一定の義務を課すことになっている」と述べている(添付資料表参照)。これにより、入札全体の推定価格は497億レアルとなった。
長官によると、「5G技術が最初に導入されるのは、一部既存の設備が転用できる3.5GHzの周波数帯で、落札者は2022年7月までに全州都に5Gネットワークを稼働させる義務がある」という。
携帯電話事業者協会(CONEXIS)は9月24日の公式サイトで、5Gによって通信環境の向上や経済の生産性向上がもたされるとして入札を歓迎した。一方、ブラジル通信インフラ事業者協会(ABRINTEL)のルシアノ・ストゥッツ会長は、全国工業連盟(CNI)の10月6日付プレスリリースの中で、5Gの重要性を踏まえつつも、「通信環境の向上や生産性向上の妨げになりかねない専用アンテナ設置にかかる規制や認可手続きの複雑さは改善の余地がある」と指摘した(2021年9月28日記事参照)。
9月28日付現地紙「グローボ」は、国家の情報セキュリティーが脅かされかねないとして、かねて国内外で議論となっていた中国通信機器メーカー華為技術(ファーウェイ)に対する制限について、「依然として明確になっていない」と報じている。明確でない部分は、添付資料表では政府専用ネットワークの構築を含む3.5GHzの部分だ。明確でないとされるポイントは、5G入札の手続きを規制する2021年1月29日付の通信省令第1,924号に記載のある「政府専用ネットワークを設置する際には、技術調達先となる関連企業はブラジルのガバナンス基準に従う必要がある」という部分だ。同省令について、ファビオ・ファリア通信相は3月9日の下院議会の公聴会で、「ファーウェイはそのガバナンス基準を満たしていないため、政府専用ネットワークに加わることはできない」と述べている。これに対し、ファーウェイのサイバーセキュリティー・ソリューションズ部長のマルセロ・モッタ氏は6月4日の下院議会の公聴会で、「この省令の基準は明確でない」と主張している。9月28日付現地紙「グローボ」では、通信省のアルトゥール・コインブラ通信局長から、政府専用ネットワーク設置に関する規制をより明確にするため、今後新たな省令を公布するとの情報を得たことが報じている。
(エルナニ・オダ)