電車の吊り棚、トイレ個室の物置、ふらっと寄ったカフェのテーブルの上など、人はさまざまなところに物を置いて、そのまま忘れてしまいます。たとえば、電車内の忘れ物について、相鉄線では2020年度に1日あたり約155件換算の5万6542件の忘れ物があったと発表しています。明日は我が身。どうすれば、落とし物や忘れ物をしないようにできるでしょうか。
対策のひとつとして考えられるのが、紛失防止タグ(忘れ物防止タグ、落とし物防止タグなどとも)と呼ばれるアイテムを使うことです。これは、一般的にBluetooth機能を有した小さなデバイスで、紐付けたスマホから離れてしまったことをアプリで通知してくれるというもの。完全に離れきってしまった場合は、タグとスマホが最後に通信をした位置を記憶し、どこでなくしたのかをたどれます。
紛失防止タグ(Amazon)
紛失防止タグは、国内では純国産のMAMORIOのほか、Tile、Apple AirTagが有名です。
MAMORIOでは、小田急電鉄、東京メトロ、JR東日本/西日本、名古屋鉄道など約700路線以上の鉄道駅のほか、日本郵便、高島屋、森ビルなどショッピングセンターやオフィスビルなどに「MAMORIO Spot」を設置。落としたものが近くにある、または落とし物センターに届けられたら、自動的にスマホに通知することで、なくしたものを探しやすくしています。
またTileでは、約3万台のタクシーに取り付けられているMoT後部座席タブレットや東京メトロや東急線の駅にTileアクセスポイントを設置しています。タクシーがTileの取り付けられたモノのそばを通ったとき、またTileの取り付けられたモノが落とし物として駅に届けられたときに、自動的に通信を行ない、持ち主のスマホに通知することで、紛失物を見つけられます。
Apple AirTagには、MAMORIO SpotやTileアクセスポイントのような仕組みはありませんが、超広帯域無線通信チップを搭載。同様のチップを搭載するiPhone 12/11が近くを通ったときに自動的に通信をし、位置の特定を行なうという仕組みを採用しています。
Apple AirTagは1種類しかありませんが、TileやMAMORIOにはキーホルダータイプ、カードタイプ、札(!?)タイプ、シールタイプなどの形状が用意されています。また機能も、電池交換可能なもの、音を鳴らせるものなどがありますので、用途に応じて選びたいところですね。
Apple AirTag
世界中のiPhoneユーザーが一緒に探してくれる
Apple AirTagは、2021年4月30日に発売された、Apple純正の紛失防止タグです。もともとiOS端末の「探す」アプリでは、アカウントに登録しておいたApple製品を探せましたが、このApple AirTagを取り付けておけば、すべてのものを探す対象にすることができます。
使いかたは簡単で、iPhoneまたはiPadのBluetooth機能をONにして、「探す」アプリに自分のApple AirTagを追加するだけ。これで、Apple AirTagを取り付けたものがどこにあるかをたどれるようになります。自宅内で紛失した場合には、iPhoneなどから音を鳴らすことも可能。CR2032電池を使っており、電池寿命は約1年。後発だけあって、紛失防止タグに対する不満点を改善した製品だといえるでしょう。
本体サイズは直径31.9mmで厚さ8mm。IP67等級の防塵防水性能あり。ツルッとした円形なので、鍵などに取り付ける際には専用アクセサリーが必要です。Amazonでの販売価格は3800円です。
Apple AirTag(Amazon)
Tile Pro(2022)
通信距離が長いから落としても安心
Tile Pro(2022)は、世界中で使われている紛失防止タグTileの最新バージョンです。シリーズ最長となる最大120メートルの通信距離と電池(CR2032)交換のできるハイスペックさが魅力の製品です。
Tileシリーズ最大の特徴は「音で探せる」というもの。取り付けておいたものを室内などでなくしてしまったときに、アプリ操作で音を鳴らして、場所を確認することができます(音を鳴らせるのは最大75メートル以内にある場合)。逆に、Tileのボタンをダブリクリックして、スマホから音を鳴らすこともできるため、スマホをどこに置いたかがわからなくなったときにも便利です。
Tileを取り付けたモノを落としてしまったら、アプリを開いてどこでTileとの接続が切れたかを確認できるため、だいたいの見当をつけて探せます。また、Tileユーザーが側を通れば、おおまかな現在地がわかるようになるため、探し出せる可能性を飛躍的にアップさせられます。さらに、裏面にあるQRコードを拾った人がスキャンすることで、持ち主に通知することも可能です。
防水性能はIP67レベルなので、落とした日が雨模様でも心配無用。サイズは幅34×長さ59×厚さ7.7mm。Amazonでの販売価格は約4300円です。
Tile Pro(2022)(Amazon)
MAMORIO FUDA
“御札”のように貼り付けて紛失の厄除けに!?
なくすと困るモノにペタリと貼り付けておける紛失防止タグがMAMORIO FUDA。幅36.2×長さ24×厚さ3.4mmで重さはわずか3.4g。貼り付けておいても気にならないサイズ感です。
電池交換はできませんが、使い始めから180日経過で「OTAKIAGE」サービスを利用可能。利用中のMAMORIOと交換する形(実際には、各自で廃棄する)で、最大50%の割引額で新しい本体を購入できます。新しいMAMORIOの種類や色は、利用中のものと異なるものでもOK。手軽に新製品を試すチャンスにもなります。
落とし物を探す仕組みは、前述のMAMORIO Spotとの通信のほか、落としたことに気づいてからアプリで「みんなで探す」機能をONにしておくことで、落としたMAMORIOとすれ違った別のユーザーのMAMORIOがお互いに感知して位置特定するというものがあります。なお、これによって落とし物の場所がほかのユーザーに知られることはありません。また、誰のMAMORIOに感知されたのかもわからないようになっているので、プライバシーは守られます。
カラバリは白と黒。Amazonでの販売価格は約3300円です。
MAMORIO FUDA(Amazon)
Tile Slim(2022)
紛失の被害甚大な財布に入れておきたい
Tile Slim(2022)は、厚さ2.5mmのクレジットカードサイズで、財布、定期入れ、カードケースなどにピッタリの紛失防止タグです。接続距離は最大75メートル。電池交換はできませんが、最大で約3年バッテリーがもつため、経済的です。
ほかのTileシリーズ同様、Tile Slim(2022)も音で探すことが可能です。スマホアプリからのほか、スマートスピーカー(Alexa、Googleアシスタント)に呼びかけることで鳴らせます。また、本体ボタンをダブルクリックすることで、スマホから音を鳴らすことも可能。室内で探すときに特に便利さを感じるでしょう。また、公共のトイレでなくした場合、音を鳴らせばどの個室に置き忘れたかもすぐにわかります。
防水性能はIP67相当で、水たまりに落としてしまっても作動に影響がありません。Amazonでの販売価格は約4700円です。
Tile Slim(2022)(Amazon)
MAMORIO CARD
万が一のための財布のお守り
MAMORIO CARDも、クレジットカードサイズで財布や定期入れなどに入れて使うと便利な紛失防止タグです。厚さは50円玉と同じ約1.7mm。財布の中でかさばりません。
それ以上に特徴的なのは、充電式というところ。Qiワイヤレス充電に対応しており、1回の充電で最大6カ月の連続利用が可能。少なくとも3カ月に1回の充電サイクルで使えるため、かなり経済的といえます。また、こちらもOTAKIAGE対象製品なので、バッテリーのもちが悪くなったと感じたら、別のMAMORIOを割安で購入可能。さらにおトク度が増す製品となっています。
音を鳴らす機構がないのが残念ですが、AR技術で発見が可能(ただし、iOS 11以降をインストール済みのiPhone 6S/iPad Pro、iPad 第5世代以降、Google ARCore搭載アンドロイド端末で対応)。スマホカメラをかざせば、どの位置に目的のMAMORIOが隠れているかをすぐに見つけられます。
Amazonでの販売価格は約6600円です。
MAMORIO CARD(Amazon)
記事中の製品はEngadget日本版チームが推奨しているものです。販売情報は記事執筆時点のもので、価格や在庫状況は常に変化しています。
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