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AQUOS R6に搭載されたライカレンズと1インチセンサーの実力はいかに

沿って mobilephones 10/01/2023 622 ビュー

つい先日、ドコモとソフトバンクより発売されたシャープ製フラッグシップスマホAQUOS R6。HUAWEIに次ぐライカコラボ端末であり、スマホカメラでは世界最大級となる1インチセンサー搭載で大きな話題となりました。

今回はそんなAQUOS R6のカメラを1週間ほど使ってきましたのでレビューしていきます。

ご覧のとおり、AQUOS R6のカメラはかなり美しい写真が撮影できます。一方で、撮影するにあたって気になる点も多々ありました。そのひとつひとつを細かく見ていきましょう。

そもそもAQUOS R6のカメラがすごい点は?

AQUOS R6のカメラは様々な点で革新的です。

・1インチセンサー搭載

AQUOS R6に搭載されているイメージセンサーはSONYのRX100シリーズのような高級コンデジと同じ1インチで、スマートフォンにおいては世界最大級のサイズとなっています。

現在販売されている大型センサー搭載機種はXiaomi Mi 11 ultra(1/1.12インチ)、HUAWEI Mate 40 Pro(1/1.28インチ)、Vivo X60 Pro+(1/1.31インチ)、Galaxy S21 Ultra(1/1.33インチ)となっており、AQUOS R6のカメラが現行のどのフラッグシップ端末よりも巨大なイメージセンサーを備えていることがわかります。

イメージセンサーは、大きければ大きいほど光を受け取れる量が多くなり、階調豊かな写真が撮れるようになりますが、その一方でレンズ設計が難しくなる、カメラユニットが大きくて厚くなるといった欠点もあります。

さらに今現在、スマホ向けの1インチセンサーは存在しないため、シャープはコンデジ用の1インチセンサーを利用したと言います。これを実現するにはカメラ向けのイメージセンサーをスマホレベルの厚みに収め、出力された信号のチューニングを一新する必要があり、シャープはそれをやってのけたのです。

特に厚さに関しては、パナソニックの1インチセンサー搭載スマートフォンDMC-CM1が厚み21.1mmであったのに対し、AQUOS R6は厚み9.5mmに抑えられているのは称賛に値します。

・ライカ(Leica)との協業が実現できているところ

AQUOS R6はHUAWEI機に次ぐライカコラボモデルとなっています。

ライカはドイツの老舗カメラブランド。1台100万円を超えるライカのカメラはカメラファンの憧れであり、「いつかはライカ」とも言われています。

また、そんなライカとコラボしてきたHUAWEI機のカメラもまた非常に評価が高いモノとなっています。同じライカ監修のAQUOS R6のカメラにも自然と期待が持てるのです。

シャープとライカの協業はAQUOS R6のセンサー・レンズ設計、画質の調整まで含めたカメラシステム全体の開発までに及んでおり、そのためAQUOS R6で撮れる写真は「Leicaが認めたもの」という付加価値が乗っかっています。

その中でも特筆すべきなのがズミクロンレンズ。AQUOS R6にはライカのズミクロンという名がつけられていて、これはAQUOS R6用に専用設計されたもの。全部で7枚のレンズ構成となっており、9.5mm以下の厚みでありながら1インチセンサーの隅々まで光を届けられることで解像感の高い画が得られるとともに、歪みもしっかり補正されています。

このように、AQUOS R6のカメラは今まで着実に国内での支持を広げていったAQUOSシリーズの中でも挑戦的で意欲的でエポックメイキングなモノなのです。

ライカレンズと1インチセンサーの実力は?

それでは実際の作例とともにAQUOS R6のカメラの実力を見ていきましょう。

・余裕を感じる1インチセンサー

スマホにしては巨大な1インチセンサーを搭載しているため、AQUOS R6で撮れる画には余裕があります。

まずはダイナミックレンジが広い点。連写をソフトウェア合成するHDRに頼らずとも明暗差の激しいシーンや光量の少ない夜景写真でも豊かな階調が表現できます。この一枚はかなり暗いシーンでしたが、左側の低木の茂みの質感もしっかりと残っていることがわかります。

1インチセンサーで撮影したデータにはより多くの情報が含まれているため、RAW現像の幅が広がり、非常に楽しいのも特徴です。AQUOS R6はマニュアルモードでJPG+RAW撮影ができるので、「RAW写真をAdobe Lightroom Mobileでサクッと現像してそのままSNSでシェア」という流れがスムーズに進みます。

上の一枚は右下の暗いところをギリギリまで持ち上げたもの。質感が損なわれずにジャイアントケルプとイソギンチャクが浮かび上がりました。

比較的暗い場所でも手持ち+夜景モードオフでここまで明るく写ります。

暗いところのディテールもしっかりと残っており、1インチセンサーの余裕を感じます。

・自然な背景ボケを活かした撮影ができる

AQUOS R6は1インチセンサー+19mmF1.9のズミクロンレンズというカメラ構成となっているため、ポートレートモードを使って合成したボケではなくカメラそのものが生み出す自然なボケが活用できます。

カメラそのものが生み出す自然なボケならばポートレートモードにありがちな境界線が不自然になる問題もありません。違和感のない背景ボケで被写体に視線を集めるような写真が撮れるのは非常に魅力的でした。

また、AQUOS R6のズミクロンレンズは背景ボケが汚くなる原因である非球面レンズを多用した構成であるものの、そこまでボケは汚くありません。じわじわとなめらかにボケていくのを活かした面白い写真が撮れます。

なお、合成でボケを生み出しているポートレートモードとは違い、前ボケを活かした写真も撮れます。このように、表現としての撮影の幅が広がるのは1インチセンサーの大きな魅力と言えるでしょう。

・ライカの空気感を感じる画作り


 AQUOS R6に搭載されたライカレンズと1インチセンサーの実力はいかに

AQUOS R6で撮った写真を見返すとどれもいい雰囲気であることが多いです。近頃のスマホカメラにありがちな高コントラストかつ高彩度のこってり系ではなく、低コントラストでパステルカラーのような画は見ていて飽きません。

特に、人々の営みを写し取った写真の雰囲気がいいです。言葉にしづらいのですが、空気感と言いますか、その場に自分が立っているかのような感じがします。

具体例をあげましょう。暗い写真ではガッツリノイズの出るAQUOS R6ですが、そのノイズすらもライカの生み出す空気感の一員。ノイズは忌み嫌われがちですが、暗い場所なんだという意味づけをしてくれるものでもあり、写真の描写として愛おしい要素となります。

私は今まで「ライカって高いだけじゃん、なにがいいのよ」と思っていましたが、今回始めてAQUOS R6でライカを手にしてなんとなくライカの良さがわかりました。この空気感の残る画作りこそがライカらしさなのだろうなと思います。

言語化が非常に難しくて苦労しましたが、作例から少しでも皆さんに伝われば幸いです。

・超広角+寄れないためテーブルフォトは苦手

センサーサイズが大きく、本体が薄いと最短撮影距離が長くなってしまう傾向にありますが、AQUOS R6も例外ではありません。

AQUOS R6の最短撮影距離は約10cmと長めです。また、画角が35mm判換算で19mm相当と一般的なスマートフォンの約0.7倍となっているため、近寄って撮影したいテーブルフォトでは被写体が小さくなってしまい不向きです。

近寄りたいのに近寄れないときは超解像技術が使われたデジタルズームを利用すれば解決します。AQUOS R6ならばセンサーサイズに余裕があるため、3倍ズームぐらいまでは画質の劣化が少なくすみます。ただ、1インチセンサーがフルで活用されないのは少し残念です。

・AFやシャッターの反応が遅く、シャッターチャンスを逃しやすい

AQUOS R6ではAF(オートフォーカス)用にToFレンズが搭載されており、レーザー光を用いたAF補助がなされます。

ToFレンズのおかげで快適、と言いたかったのですが現実はそうではありません。ボケやすくピントがシビアなためかAF速度はかなり遅い印象です。

また、水族館や車内などガラス越しの撮影だとガラス面にピントが合ってしまい、ピンボケ写真が量産されます。ガラス越しの撮影は適宜マニュアルフォーカスでの撮影が求められ、撮影のテンポが悪くなります。

シャッターの反応も悪く、押してから実際にシャッターが切れるまで約1秒のラグがあります。長時間カメラを回して発熱状態になると3秒ほど反応しないということもありました。

そんなときに役に立つのが4Kフォト。4K動画を回すとAIライブシャッターが発動し、自動的に最適なシーンの写真を切り出してベストショットを残してくれます。また、ピントも大まかに合わせてくれるので、ずっとピンぼけということもなく、ピントの問題も解決できます。

カメラユーザー的には動く被写体は連写したくなりますが、4K動画を撮るのが最適解です。私はこれに気づくのにかなり時間がかかりました(笑)

・レンズフレア/ゴーストが顕著

撮影時に気になったのはレンズフレア/ゴースト(特にゴースト)がひどいこと。1インチセンサー用のレンズを9.5mmの厚みに抑えようとして無理なレンズ設計になったためか、強い光源に対してのフレア/ゴースト耐性に欠けています。

一方で、強めに出るフレア/ゴーストは決して悪ではなく、うまく活用すればより印象的な写真を撮影することも可能です。

上の写真は、中央の街灯から出たレンズフレアをアナモルフィックレンズに見立て、サイバー感のある雰囲気にしたものです。すぐに出てくるレンズフレア/ゴーストをどう作品に昇華していくのか考えながら撮るのが非常に楽しいです。

・一般的なスマホユーザー向けで不満の残るUI

ここまで見ていただけたらおわかりかと思いますが、AQUOS R6のカメラは非常に美しい写真が撮れるものの、ライカの色づくりやピントの問題、AF速度の問題など、シャッターを押すだけで誰でも快適かつSNS映えする写真が撮れるわけではありません。それなのにカメラアプリのUIがカメラユーザー向けではなく一般ユーザー向けに仕上がっている点が気になります。

カメラアプリを起動するとまずデジタルズームされた27mm相当の画角となります。1インチセンサーをフルに活用した19mmの画角を利用するためにはピンチアウトするか画角ボタンを2回もタップする必要があるのです。

27mmの画角は一般的なスマホカメラで多用されるため、他のスマホから機種変更した一般ユーザーが違和感なく使えるようにするための工夫でしょう。それはまだ納得できますが、画角を変えるのに2回もタップする必要があるのはいただけません。3種類の画角をワンタップで変更できるUIにするべきです。

マニュアルモードのUIがわかりにくいのも気になります。

例えばMF(マニュアルフォーカス)の操作感。AQUOS R6はボケやすくピント面が非常にシビアなうえ、AFに少々難があるためMFが快適であればいいのですが、MF時のUIが原因でピント合わせが難しいです。例えばJPG+RAWでもフォーカスピーキングに対応するか、MF時は拡大されるなど、カメラでは当たり前のピント合わせ支援機能があるとより便利だと思います。

撮れる画や求められる操作がカメラ的であるのにUIがAQUOS的なままなのはちぐはぐしていて非常に違和感があります。これからのアップデートや新機種でUIが改善されることに期待したいです。

まとめ:AQUOS R6のカメラには写真を大事にするライカの魂が詰まっている

AQUOS R6のカメラはまだまだ課題は多いものの、美しい写真が撮れます。

ただ、ピント面がシビアでAFが遅いため、一枚一枚構図を決めてからゆっくりと設定を追い込んで撮影することが多かったです。撮れた画はライカらしい空気感の残るものであり、どのスマホにもできないような写実的で印象的な写真が撮れます。

iPhoneなど、最近のスマホは何も考えずにシャッターボタンを押すだけできれいな写真が撮れます。一方、AQUOS R6はひとつひとつの動作がスローで、快適とは言えませんが、その分1枚に込める思いがより濃厚なものとなります。

ノーベル賞を受賞した経済学者のハーバード・サイモンは「情報の豊かさは注意の貧困をつくる」と言いました。SNSでの情報発信が簡単になり、スマホの普及で写真が氾濫する今、小さいスマホの画面でよりインスタントに注意を引ける高コントラスト高彩度のいわゆるSNS映えする写真が好まれる傾向にあります。

AQUOS R6ではそういったたぐいの写真が撮れるわけではありません。ふわっとした空気感が残るヌケのある画作りであり、フィルムカメラのように一枚一枚大切にシャッターを切ることで写真にじっくり向き合える。AQUOS R6のカメラは、写真を大事に思うライカの魂が詰まった機種だと思います。

AQUOS R6はシャープ×ライカ協業の第1作品です。UIなどまだまだ粗はあるものの、弱点を潰していくことでこれからのAQUOSシリーズが一般的なスマホユーザーももカメラファンユーザーにも愛されるモデルになるように期待しています。

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