Xiaomiは、8月31日、日本市場に向けたオンラインカンファレンスを開催。KDDIから9月4日に発売される「Mi 10 Lite 5G」を改めてアピールするとともに、スマートバンドの「Miスマートバンド5」や、ワイヤレスイヤホン2機種、IoT製品の空気清浄機を発表しました。
これに合わせ、同社の日本事業をリードする東アジア担当ゼネラルマネージャーのスティーブン・ワン氏が、単独インタビューに応じました。Mi 10 Lite 5Gを日本で発売することになった経緯や、Xiaomiのキャリアとの取り組みなどを語っています。同氏が強調していたのが、Mi 10 Lite 5Gが価格以上に価値のある端末だということ。
「品質が非常に高く、デザイン性に優れている。カメラも、この価格帯で最高のシステムを作りたいと考えた。5G対応のSnapdragon 765Gを使い、パフォーマンスも高い」というのが、このモデルの特徴です。ディスプレイにはサムスン製の有機EL、前後両面に「ゴリラガラス5」を使うなど、「コンポーネント(部材)もプレミアムなもの」と自信をのぞかせます。
にも関わらず、Mi 10 Lite 5Gは4万2740円とリーズナブル。KDDIのラインナップの中ではもちろん、SIMフリーまで含めた5Gスマホとしては、異例の低価格と言えるでしょう。その理由や、日本導入の経緯を聞きました。その一問一答は、以下のとおりです。
──さまざまなラインナップがあるなかで、Mi 10 Lite 5Gを5G対応の第一弾として日本に投入したのはなぜでしょうか。その経緯を教えてください。
ワン氏:Xiaomiとしては、現在、ポートフォリオに10機種以上の5G端末があります。そのなかでも、この端末が市場に一番フィットしていて、タイミング的にもいい製品だと考えました。ハイエンドの5Gにしなかったのは、消費者の選択肢として、市場にかなりのハイエンドモデルがすでに出ているからです。ですが、Xiaomiでは、5Gをもっと前進させるためには、すべての人が5Gを使えるようにする必要があると考えています。そのためには、もう少し手ごろな価格にする必要があると考え、買いやすい価格帯のものを選択しました。
技術面にもう少し踏み込んでお話しすると、最初に利用できる5Gのチップセットは、Snapdargon 865で、その次がSnapdragon 765Gでした。その中で、もっとも早く、コストパフォーマンスのいい製品を出すために、Snapdragon 765Gを選んでいます。Mi 10 Lite 5Gは我々のデバイスの中でもバランスが非常にいい製品で、使っているコンポーネントもすべてプレミアムなものです。デザインも優れていて、ほかの5G端末に比べて軽い。カメラも性能もいいですね。
──市場動向に合わせてということですね。ということは、市場の広がりに合わせて、ハイエンドモデルなどを投入する可能性もあるということですか。
ワン氏:それは間違いありません。今後は、もっと多くのデバイスを出していきます。
──5G対応モデルとしては破格の値段だと思いますが、それを実現できた理由はどこにあるのでしょうか。
ワン氏:Xiaomiでは、あらゆる手段を使って、最高の価格を提供したいと考えています。我々が成功できた背景には、質の高い製品を競合より低い価格で提供してきたということがあります。
なぜそれができたのかというと、1つは利益率の低さで、ハードウェア事業の純利益の比率を5%にならないようにするといったコミットメントを出しています。その公約を出したのは2018年でしたが、その後、純利益は1%に満たない数字で推移しています。開発費や販売費を差し引くと、お客様が実際に買っていただけるときの価格は、工場出荷時のものに近くなります。我々は、コストはこれだけであるべきだと考えています。
価格の最適化については工場もそうで、これは大きな規模があるからこそ可能なことです。一例を挙げると、他社が5Gスマホの開発を行い、年間で販売する端末が1機種100万台だとすると、開発費はその100万台ですべてまかなわなければなりません。一方で、我々には10以上の5G端末があり、それぞれを、かなりの数販売するので、1台のデバイスあたりのコストは競合よりかなり低くなります。そういった形で、今後もコストの最適化を進めていきます。
──製品という点では、スマホだけでなく、IoT関連製品も多数出しています。これがコストダウンに与える影響もあるのでしょうか。
ワン氏:スケールの最適化に役立っています。製品数が多いため、1つの製品に依存する必要がなく、サプライチェーンが共通しているからです。例えば、スマートバンドは世界ナンバー1ですし、ワイヤレスイヤホンでも世界で2番目に売れている製品を持っています。ということは、スマホだけでなく、多くのカテゴリーで最大規模の製造ができているということです。これらを組み合わせると、さらに規模は大きくなり、好循環なモデルになります。
──IoTでいうと、例えばアップルはApple WatchやAirPodsを出すことでiPhoneの価値を高めて、ある種の囲い込みの効果が出ていると思います。御社はいかがですか。
ワン氏:同じようなことが起こっています。また、IoT製品はブランドの認知という観点でも有効です。スマホは1回購入すると、2年ぐらいは同じものを使い続けますよね。値段もIoTの製品に比べると高いですし。対するイヤホンやスマートバンドは、1回いい食事に行くぐらいの金額で手に入ります。Xiaomiの製品を体験していただくハードルが下がるということです。製品のコストパフォーマンスに驚いてもらえれば、この製品を買ってよかったという気持ちが生まれます。
おもしろいことに、こういったことでXiaomiのファンになると、次々とXiaomiの製品を買うといった効果があります。しかも好きな人は、ユニクロや無印良品でそうするように、価格のタグを見ずに買う。買えば必ず値段に合った価値があることを分かっているからです。ブランディングという観点で考えると、価格を下げて提供する方が、広告を打つより効果的です。プロモーションとしても、もっとも実直なものだと考えています。
2つ目はエコシステムで、日本ではまだ立ち上げていませんが、これからユーザーベースができてくれば、Miホームアプリが生きてきます。これは、家庭内のすべての製品をコントロールできるアプリで、IoT製品を買っていただけばいただくほど、もっと生活が便利になります。
──Mi 10 Lite 5Gは、KDDIが取り扱っています。キャリア採用の決め手は何だったのでしょうか。
ワン氏:KDDIになぜ選んでいただけたのかということを(KDDIと)直接お話ししたことはありませんが、Xiaomi側の視点で言うと、議論を開始したときから、KDDIのアプローチと我々のアプローチは親和性が高いように見えました。KDDIではもっと幅広く5Gを展開するため、価格を抑える必要があると認識しているように見えました。結果として、パートナーシップを組んで質の高い製品を安価で提供することが決まりました。
── 一方で、今回の製品はおサイフケータイに非対応です。キャリアモデルでは対応している機種も多いですが、この機能については今後どうされていくのでしょうか。
ワン氏:おサイフケータイについては、日本独自の機能です。これから学んでいき、開発して実装するとなれば、おおよそ1年ぐらいかかります。ですが、今後はサポートしていきたいと考えています。
──そういった独自機能があるにも関わらず、スマホの市場規模を見ると、日本は、中国やアメリカより規模が小さいのも事実です。Xiaomiにとっての日本市場とは、どういった意味があるのでしょうか。
ワン氏:いい質問です。Xiaomiはグローバル展開の拡大を、4年ぐらい前から始めています。当初は人口が多く、エントリーバリア(参入障壁)が低い市場に参入してきました。インドや東南アジア、中東がそうですね。ただ、グローバルでの規模を考えると、日本はそれでも人口が多い国で、世界的な投資対象になります。ブランド的にもそうで、Xiaomiが本当に意味でのグローバルブランドに成長するにはトップクラスの国の1つである日本で成功しなければなりません。
また、日本の消費者は我々自身や我々のビジネスモデルに対し、好感度や理解度が高いこともあります。その意味でも、日本は非常にいい市場で、Xiaomiが次のステップに進むには必要な国だと考えています。
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