シャープが2021年5月17日発表した新スマホ「AQUOS R6」が注目を浴びている。カメラに1インチセンサーを搭載したことが話題となっているようだ。
実際、筆者がAQUOS R6の動画を自分のYouTubeにアップしたところ、複数の海外YouTuberから動画をパクられたりもした。自分の動画には海外からコメントが書き込まれるなど、日本のみならず、世界から熱い視線が注がれているようだ。
ただ、シャープから初めて「1インチセンサーを載せます」と聞かされた時、瞬時に「大丈夫かな」と不安になってしまった。
1インチセンサーを載せたスマホっぽい製品はAQUOS R6が初めてではない。かつて、パナソニックが2014年に「LUMIX DMC- CM1」を発売している。1インチセンサーを搭載しつつ、LTE通信にも対応。もちろんAndroidが稼働していたので、スマホとして使えるのだが、パナソニックとしては「コミュニケーションカメラ」として売り出していた。
スマホとして売り出せなかったのは、やはりカメラ部分の本体サイズが厚かったのが原因だったような気がする。1インチセンサーはスマホのサイズに搭載するには大きいため、どうしても本体が厚くなる。LUMIX DMC- CM1では、本格デジカメ的なデザインにして、カメラ周りをあえてリングで強調することで、本体の厚みをうまいことごまかしていた感がある。
ただ、1インチセンサーの画質がとにかく素晴らしく、かつすぐにGoogle Photoにアップできるということで、重宝して使っていたのだった。パナソニックは継続的に後継機種を出して欲しかったが、叶わなかった。
あれから7年。
「今度のAQUOSは1インチセンサー」と聞いて「LUMIX DMC- CM1みたいに本体が厚くなっていなければいいが…」と思って、AQUOS R6を見てみたら、カメラ周りは何とか許せる範囲の大きさであった。決して薄い方ではないが、ケースをつければ、特に気になることはなさそうだ。
ここ最近、中国メーカーなどではカメラのセンサーサイズを大きくする傾向があった。1インチに限りなく近づいていたが、1インチの大台に載ることはなかった。しかし、その1インチの壁をシャープは軽々と超えてしまったのだった。
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では、なぜ、シャープは1インチセンサーを載せられたのか。
実は、ライカと共同開発の「SUMMICRON 7枚レンズ」の存在が大きいようだ。このレンズが薄いために1インチセンサーをスマホのサイズ感に収められたようだ。
7枚のレンズが入ってきた光を1インチセンサーでめいいっぱい受け取れるようにしている。F値:1.9、焦点距離19mmでの撮影が可能だ。
スマホカメラでの画質が年々、向上しているが、これらはどちらかといえばチップセットの処理能力が大きい。AIなどを活用し、機械学習によって、人が美しいと感じる写真を作り出している。
AQUOS R6は、こうした知力勝負に加えて、大きなセンサーとレンズによる体力勝負を持ち込むことで、これまでにはない写真を実現してくれることになりそうだ。
AQUOS R6では、人物撮影などでは大きなセンサーによる「自然なボケ」となる写真が撮れ、料理などでの撮影は演算処理による鮮やかな写真に仕上げていくような使い分けがされていくようだ。
期待したい「ライカのスパルタ教育」
2021年5月17日の発表イベントで実際に写真を撮ってみたり、シャープが用意した作例を見てみると、接写の際に周辺が流れていたり、一部、撮影が鮮明なっていないところなど、「ん?」と思える箇所があった。
しかし、絶賛開発中と言うこともあり、発売時までには改善が加えられるようだ。
今回、ライカの協力を得ていると言うことで、期待したいのが「ライカのシャープへのスパルタ教育」だ。
かつて、ファーウェイがライカと組んでスマホを作ってきたときに、新製品が出るたびに、画質が向上し、目を見張るようなカメラに生まれ変わっていたのが印象的であった。
ファーウェイはもともと基地局などのネットワーク機器やスマートフォンのみを手がけており、デジタルカメラなどの光学機器に強いわけではない。そんなファーウェイを世界トップレベルのスマホカメラメーカーに成長させたのは、やはりライカの功績が大きいのではないか。
今後、ライカとしても、シャープに名前を貸すからには、相当な指導が入ることが予想される。ライカとしては基準はすでにファーウェイレベルであるのだから、自ずとシャープもファーウェイレベルに引き上げられるのではないか。
これまでのシャープ・AQUOSシリーズはスペックや前評判は高いのだが、実際に撮影してみると「ん?」ということが多かった気がする。
今回のAQUOS R6は前評判がべらぼうに高く、世間からの注目も集めているだけに、期待外れの画質になってもらっては困る。
発売までになんとか期待を超える、世間をあっと言わせる「1インチと演算処理による最強のスマホカメラ画質」を実現させてもらいたいものだ。
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