講演の冒頭でムラーリ氏は「フォードは創始者のヘンリー・フォードが目指した人々の生活を豊かにするために自動車を作っている会社だ。現在のフォードはもちろん自動車を作る会社であるが、同時にテクノロジーの会社だ。我々の使命は、スマートでかつ安全な車をドライバーに提供することだ」と述べ、フォードの姿勢をアピールした。その上でムラーリ氏は「我々は早い段階からSNYCというネットワークにつながるサービスを提供してきた。すでにヨーロッパで350万台を出荷しており、グローバルには900万台を出荷済みだ」と述べ、これまでの経緯を説明した。
そうしたSYNCを搭載したヨーロッパ向けの車の例として、同社が昨年から発売しているSUV車「ECOSPORT」を紹介し、ECOSPORTなどSYNC搭載車向けに用意されているアプリケーションを追加する仕組み「SYNC with AppLink」について語った。
SYNC with AppLinkは、フォードが用意しているSYNC向けのアプリストアで、スマートフォンにアプリケーションを追加するような感覚で車載情報システムにアプリケーションを追加することができる。ムラーリ氏は「我々はSYNC with AppLinkにすでに4つのサービスを提供してきたが、今回そこに新しく9つのアプリケーションを追加する。また、ドイツテレコムとアプリケーションの開発で協業していくことを発表したい」と述べ、SYNC with AppLinkの新しいアプリケーションと、ドイツ最大の通信企業であるドイツテレコムとの協業を発表した。
SYNCを搭載した車両はヨーロッパで350万台、全世界で900万台がすでに出荷されている昨年発表したECOSPORTの特別仕様車には、今回発表された新しい9つのアプリケーションが標準で搭載されている新しい9つのアプリケーションが新しいパートナー企業7社から発表され、ドイツテレコムとの提携も発表されたフォード・モーター・カンパニー コネクテッドサービス 事業部長 エド・プリート氏は、その詳細を説明。プリート氏は「我々はSYNC with AppsLinkの開発環境をオープンソース化し、それを車載情報システムの標準化を行っている団体であるGENIVIに寄贈した。そうした開発環境には、すでに5000を超える開発社が登録しており、開発が進んでいる。また、AndroidやiOS向けにアプリケーションを検索してSYNCにダウンロードするためのアプリケーションを提供している」と述べた。プリート氏によればすでにヨーロッパ地域向けのSYNC with AppLinkでは、Spotify、Grimなど4つのアプリを提供しており、今回それに加えて9つの新しいアプリが提供されることになったのだという。
提供される新しいアプリケーションは、Wikipediaの情報を音声で検索できる「ASKWiki」、ドイツテレコムの携帯電話キャリアであるT-Mobile(日本で言えばNTTドコモのような会社)のSMSなどを受信できる「T-Mobile」アプリ、さらにはカーナビメーカーであるTomTomの渋滞情報などを受信できるアプリケーション、ホテル予約が可能なhotels.comのアプリケーション、ドイツの駐車場情報を検索できるADACアプリ、ドイツの新聞「ディベルト」アプリなどが紹介された。
プリート氏は「今後はAppLinkのバージョンをさらに上げて2.0とし、スマートフォンで実現されているようなメールなどの着信通知、ボイスパススルー機能、さらにはより詳細な車両情報へのアクセスなどの機能を追加する。今後も開発者コミュニティとは密接に協力して発展させていきたい」と述べ、SYNC with AppLinkを発展させ、より多くのアプリケーションを提供していけるようにしたいと説明した。
フォード・モーター・カンパニー コネクテッドサービス 事業部長 エド・プリート氏SYNCに新しい機能を追加する仕組みのSYNC with AppsLinkSYNC with AppsLinkの開発環境はオープンソースとしてGENIVIに提案されているすでに5000の開発者がフォードの開発者向けのサイトに登録している既存の4つにくわえて新しく9つのアプリケーションが追加されたSYNC with AppsLinkのバージョン2.0ではさらに機能が追加される