mi-mollet(ミモレ)
スタイリングディレクター大草直子著『飽きる勇気~好きな2割にフォーカスする生き方』より、「変化を恐れず自分軸で生きるアイデア」を一日ひとつずつご紹介します。【写真】覚えておきたい! 大草直子の「自分軸で生きる方法」 私が、編集者という仕事を選んだのは、「みんなに知ってもらうこと、伝えること」が、好きだったからに他なりません。仕事柄得られる情報やチャンス、それらを経て経験したことを、本や雑誌、SNSを使って言葉にのせて共有したり、コラボレーションで作った洋服や空間などの、形に変えてシェアしています。「シェアしたい」というこの気持ちは、経営者としてビジネスをしていくうえでも、大切にしています。たとえば、コンサルティングのときなどは、プロジェクトの着地点を必ずクライアントとの間で共有します。洋服の販売であれば、どれくらいの売り上げを目指しているのか、SNSでのフォロワー数はどれくらいを目標とするのか、ブランドサイトのPV(ページビュー)やオンラインショップへの送客はどれくらいを狙っているのか。――こうやって数値をシェアしたうえで、「私も頑張るけど、お互いに頑張りましょうね」と、お互いを鼓舞し、やる気にさせるのです。 どんな仕事も、ひとりでできるものでは決してありません。チームで取り組むから計り知れないエネルギーが生まれるし、それが結果や、面白さにも繫がっていくはずです。特に、私がやりとりするのは、30代、40代の後輩世代の女性たち。これから先の未来を作り上げていく彼女たちを、モティベートしていきたいし、結果を残して彼女たちに花を持たせたい――それはある意味、社会にお返しできることのひとつなのかなと思っています。
また、シェア意識と同じくらい大切にしているのが、公平であることです。これはビジネスマンとしての思考によるところが多いと思いますが、関わる人、全員が、うるおうような世界であって欲しい。私にとって「アマーク」は、そういう場所でもあります。アパレルにしてもコスメにしても、食品に関しても、原価率という考え方は避けられません。たとえば、3000円で作れる洋服があったとして、大きな会社だと従業員や流通、在庫を管理する倉庫にかかるコストなどを見積もり、1万円くらいのプライスをつけて販売するのが、一般的なやり方だとしたら、「アマーク」では同じものを半分くらいのプライスで販売していきたい、と思っています。でも、そのためには在庫を残さないように、受注生産というやり方でしか対応できなかったりするのは確かですが、適正価格でショッピングができ、工場だって余分な生産をしなくて済む。もちろん、売れ残ったからと、廃棄になってしまうようなこともない……。サステナブルな世界、公平なビジネスって、きっとこういうことでは?
大草 直子