普通の人にはあんまり関係ないかな?
iPhone 13 ProとiPhone 13 Pro Maxで対応している動画フォーマット「ProRes」(プロレズ)。動画フォーマットっていろいろな規格がありますが、このProResは主に映像のプロの現場で使われているフォーマットです。
ProResは映像編集を行なう際に、プロの間でよく使用されます。圧縮率が低いためファイル内の情報が多い代わりに、ファイルサイズは大きめ。ただし、映像編集時の動作が比較的軽く、劣化を最小限にとどめて編集が行なえるというメリットがあります。
そのProResで記録できるのはiPhone 13 ProとiPhone 13 Pro Max。iPhone 13とiPhone 13 miniは対応していません。
「動画もなるべく高画質で!」
という気持ちがある人は、ProResに対応しているiPhone 13 Pro/Pro Maxを選びたくなると思うのですが、実際のところProResって一般人の我々に必要なのでしょうか? ProResを理由にiPhone 13 Pro/Pro Maxを選ぶべき人ってどんな人なんでしょうか?
HEVCとProResの画質の違いは? とりあえず比較してみました
とりあえず、iPhone 13 ProでProResモードと標準モード(HEVC 10bit)で動画を撮影してみました。
通常のiPhoneの動画のフォーマット(HEVC)とProResで撮影して、パソコンに転送して、ディスプレイに眼球触れるくらいめちゃくちゃじっくり比較してみましたが、正直そんなに違いがわかりませんでした! 色味も解像感も、両者ほとんど一緒。僕の目がポンコツなんですかね? 普通に撮ったiPhone 13 Proの動画でも、充分過ぎるんですけど…。
ProRes、必要かな…。
動画のプロに聞く「ProResのいいところ、教えて」
うーん、僕のような映像素人にはProResのすごさがわかりませんでした。そこでギズモード編集部の映像チーム、カイルにProResのメリットについて聞いてみました。
圧縮率が低いから画質が良くなるというのは、理屈上はわかるんです。でも実際に見ているだけではあまり違いが感じられませんでした。ということは編集上の大きなメリットがあるのかもしれません。どう、カイル?
ということは、もはやiPhoneでProResを使う必要はないってこと?
なるほどねー。でも、なんでProResはファイルサイズが大きいのに編集作業は軽いのか。これについては、折り紙を例に考えるとわかりやすいです。
折り紙は何回も折りたたんでいくとサイズは小さくなっていきます。ただし、シワが増えてしまいますし、広げるのに時間がかかります。
これを映像編集に当てはめると、シワは画質劣化、広げる動作はデコードということになります。
一度ついた折り目は元に戻りませんし、編集の度にアプリ上で畳んだ折り紙を広げる手間があるため、編集作業が遅くなってしまうんです。
一方、圧縮率の低いProResは、折りたたむ回数が少ない(シワが少ない=劣化が少ない)上に、広げるのも楽(デコードが短時間で済む)なので、編集作業が軽くなるのです。
ファイルサイズが大きいから編集が重い、という思い込みがあったのですが、カイルの話を聞く限り、編集作業においてはファイルサイズの大きさよりも圧縮率の高低のほうが重要なんだということがわかりました。
ProResの有無でiPhoneを選ぶべきではない!
ProResは何がいいの? やっぱりiPhone 13 Pro/Pro Maxにしといたほうがいいのかな? そんな疑問を解決すべく、ProResについて紐解いてみましたが、結論としては「一般の人はProResの有無でiPhoneを選ぶ必要はない」と言えます。あくまで動画のプロの制作フローに、iPhoneでも合わせられるようになったってところがポイントなんです。
どちらかというと、一般の人がiPhone 13 Pro/Pro Maxを選ぶ決め手は、望遠レンズやマクロ撮影機能などの部分でしょう。これらが欲しいならPro、いらないなら無印という感じでいいのではないでしょうか。