ソフトバンクがオンラインで新サービス発表会を開催した
5Gパケ止まり問題にはどう対応している?
はじめは同社が「New Lifestyle with 5G ~5Gで新たな価値を~」と掲げる、ソフトバンクの5Gについて。その冒頭、登壇した榛葉淳副社長は「ソフトバンク、ワイモバイル、LINEMOの5Gプラン契約数は合算で1,000万を超えました」と報告します。
iPhoneが5G対応になったことで勢いが増し、またソフトバンクならではのAndroid端末も5Gの普及に貢献したと説明。これに加え、5G対応コンテンツをそろえた「5G LAB」も好評であると紹介しました。
榛葉氏が強調したのは、全ブランドで4G / 5G共通プランを提供していること。
「4Gはいくら、5Gはいくら、と料金プランを分けることなく、分かりやすい4G / 5G共通プランを1年間続けています」(榛葉氏)
ここで5G基地局の建設について、進捗状況の説明がありました。既存20万箇所以上の基地局を活用し、地方においてはKDDIと協業する5G JAPANを通じて5Gのエリア化を進めているソフトバンク。その結果、今日現在で5G基地局は1.4万局に達しました。2021年10月末には2万局(5G人口カバー率80%)まで増やすと説明します。
これにともない、データトラフィックの量もこの1年間で約200倍まで増えたとのこと。その一方で、いまツイッターなどでは5Gの「パケ止まり」問題が話題になっています。「5Gにつながったら通信できなくなった」「4Gと5Gが頻繁に入れ替わって通信できない」というような症状が起きているのです。
ソフトバンクでは、5G電波の連続性が不十分なエリアで無理に5Gにつながってしまうことが原因と分析。そこで同社ではいま、エリアの端にこだわって設計を進めていると報告します。説明にあたったモバイルネットワーク本部の関和智弘氏は「下りは周波数が高い5Gの電波、上りは電波が届きやすい4G LTEの組み合わせで使うことで、5Gを最適化して快適な通信を実現します」と話していました。
関和氏は「5G拡張の過渡期ですが、お客様が困っていることをいち早くキャッチして技術陣が解決していきます。2022年春には人口カバー率90%を実現して、圧倒的に体感の良い5Gを提供していきます」と意気込みました。
今後は「Pixel 6 / Pro」やバルミューダスマホを投入
再び登壇した榛葉氏は「5G時代はデータ量が圧倒的に増えるので、ギガは気にせずに使いたい。そこでソフトバンクブランドでは、アンリミテッドな無制限プランを提供しています」と紹介。この2021年3月からはメリハリ無制限プランを導入しています。
また5G対応端末のラインナップも引き続き拡充していく考え。日本初上陸から約3年経ったGoogle Pixelブランドからは、2021年秋に「Pixel 6」と「Pixel 6 Pro」を投入します。特にPixel 6 Proはソフトバンクの独占取扱となりました。
また、バルミューダとのコラボモデルについてもアナウンスがありました。バルミューダが今冬からスタートさせるバルミューダテクノロジーズというブランドの第1弾において、ソフトバンク×バルミューダの5G端末の発売が予定されているのです。
ビデオメッセージを寄せた代表取締役の寺尾玄氏は「ソフトバンクのオープンで先進的な姿勢に触れて相性の良さを感じました」と語るとともに、「これまでバルミューダでは、常識的なものを作ってきませんでした。バルミューダのスマートフォンにも是非、ご期待ください」と独特の表現でアピールしました。
メリハリ無制限プランですが、今冬にはYouTube Premiumの特典を付与するキャンペーンが開始します。特典申込から半年は完全無料になるなど、YouTubeの利用者にとってはうれしい内容。メリハリ無制限プランの既存加入者も対象となっています。
次はサービス開始から約7年が経過したSoftBank Airについて。いよいよ5Gに対応します。新製品「Airターミナル5」は下り最大2.1Gbpsと、現行モデル(Airターミナル4)と比較しても大幅に通信速度がアップしているのが特徴。データ容量は無制限、解除料は設定なし。基本料は5,368円/月です。9月15日から予約受付、10月に発売予定となっています。
なお、いま現行モデルのAirターミナル4を新規契約すると、SoftBank Airが2年間 基本料4,180円 / 月で利用できる「Airスタート割プラス」と、Airターミナル5への機種変更サポートとしてAirターミナル4の端末残債が実質0円になるプログラムを適用できます。
SoftBank Airの新プランとして「Air 4G/5G 共通プラン」を9月15日よりスタートします。また、Air 4G/5G 共通プランを契約すると、利用中の固定電話の電話番号と電話機をそのまま使えて電話料金が安くなる「おうちのでんわ」サービスの基本料金が(指定の割引適用で)実質無料で提供されます。
5G LABにも新サービスです。スポーツ競技力向上をサポートするスポーツテックサービスが2021年度中に開始される予定です。アプリの全体監修と“お手本動画”を制作するのは、筑波大学アスレチックデパートメント。お手本と自分のフォームを見比べて動作が異なる部分を理解し、自分のフォームを直す、という使い方を想定しています。
このほか「スーパーPayPayクーポン」が10月18日からスタートします。同社では、かつて2016年から「スーパーフライデー」を実施していましたが、内容が強化され、かつwithコロナ時代に即した形で戻ってきました。
対象となるのはソフトバンクのスマホを利用中のユーザー。対象の加盟店で人気商品をPayPay決済で購入すると、最大半額相当の「PayPayボーナス」が戻ってくる設計です。
金曜日以外でも利用可能。毎月連続で実施していきます。例えば10月にはローソン、松屋、ガスト、デニーズで利用できるクーポンを発行。榛葉氏は「行列をつくることなく、空いているときにショップでご利用いただければ。来年以降も毎月、ずっと継続して実施します。やっぱりPayPayを使うんだったらソフトバンクスマホだなぁ、ということを体験いただければ幸いです」と説明しました。
「povo 2.0」の対抗策は?
これらの発表のあとには、メディアの質問に榛葉氏らが対応しました。
ソフトバンクの発表前日である9月13日に、KDDIが「povo 2.0」を発表したことについて聞かれた榛葉氏は「昨日、私も色んな側面から興味深く拝見していました。新しい取り組みだと思います。お客様の選択肢が増えることは、競争の観点からも素晴らしいこと。我々もお客様の声を聞き、さまざまな検討を進めています」とコメントしました。
バルミューダとのコラボモデルについては、プレゼンではあまり詳しい内容が明かされませんでした。事業責任者の菅野圭吾氏は「いま開発の最終段階です。11月以降に発売を予定しています。特徴、ハードウェアのデザインなど、バルミューダさんと企画を進めてきました。アプリのデザインにも、バルミューダさんの感性を反映しています。SIMフリー端末ですが、新しいモノ、ワクワクするモノを我々からユーザーにいち早く提供できること、パートナーの皆さんと販売に向けて協力していけることなどにソフトバンクとしてのメリットを感じています」と回答。また、榛葉氏は「独占販売ということで、今後の中長期展開も深く相談していけます。この5G、IoT時代に、一緒に新しいことに挑戦できる、という期待も高まっています」と説明し、第2弾以降のコラボ展開にも含みをもたせました。
最近、ソフトバンクの独占モデルが増えているが、通信事業者が端末にSIMロックをかけることは2021年10月1日から原則禁止となるため、単体でスマートフォンを購入して他社のSIMを挿す利用者もいるのでは、という質問に榛葉氏は「おっしゃるようなご利用のシーンもあるかと思います。一方で(キャリアのサービスと)セットで利用したいという声も、多数あるのも事実です。独占といっても排他的なものではありません」と説明。続けて「ソフトバンクのメリットとしては、ベンダーさんとお互いの技術的なもの、ビジネスモデルなどを交換しながら企画を進められます。深いパートナーシップで、スマートフォン以外の開発も含めて継続していける、中長期的なメリットもあります」と説明しました。
近藤謙太郎
こんどうけんたろう1977年生まれ、早稲田大学卒業。出版社勤務を経て、フリーランスとして独立。通信業界やデジタル業界を中心に活動しており、最近はスポーツ分野やヘルスケア分野にも出没するように。日本各地、遠方の取材も大好き。趣味はカメラ、旅行、楽器の演奏など。動画の撮影と編集も楽しくなってきた。
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