「心を運ぶ車椅子」からスタートしたOriHimeの構想
齋藤精一氏(以下、齋藤):僕がお話しした(「今までのロボットとは違う」という)のは、どちらかというと受け手側の話だと思います。今、お話しいただいたのは、中の仕組みですよね。僕も会社をやっていますが、どちらかというと、テクノロジーでどこまでいけるのかというところがありまして。
そういう追究も、僕は大事だと思うんですけど、オリィさんのやられていることは、テクノロジーをきちんと「道具」として、今ある問題に対して価値を提供している。まさに今回のテーマにある、「行動しながら実装している」という印象を受けました。
だから、冒頭で言ったとおり、これはロボットだけど、いわゆるロボットではないと思っていまして。OriHime自体を開発する時に、最初からそういう考え方があったんですか?
吉藤オリィ氏(以下、吉藤):私はけっこうロボットを作っている友人も多いんです。我々の上の世代だとアニメの、例えばドラえもんとかアトムなどに興味があるんです。攻殻機動隊の世界を作りたいとか。たぶんテクノロジーに対する興味・関心から入っていく人たちが、仲間には多いんですよね。
私も当然そこの興味がないわけじゃないんです。VRゴーグルだけで7個ぐらい持っていたり、セグウェイみたいなものを7個ぐらい持っていたりしますから。
そういうのも好きなんですけど、私がもともと高校の時に研究していたのは車椅子なんですよね。そこからスタートしているんです。どうやったらより快適に車椅子で外出できるようになるかとか。でも車椅子に乗れない人もいるし、階段を登れない時はどうすれば良いか。これについていろいろ考えた時に、「心を運ぶ車椅子」を作れないだろうかと思いついたんです。