動画を撮る敷居、下げまくり。
Insta360が超小型アクションカム「Insta360 GO2」を発売しました。発売前にお借りして使っていたのですが、動画は撮りたいけど動画用の機材を持ち歩くのがめんどいとか思ってしまう自分には実にしっくりきました。
極小カメラに1つ三役のケース
Insta360 GO2の本体はこんな感じ。親指ほどのサイズで、とにかく小さいです。
レンズの下がボタンになっていて、1回押すと動画撮影開始/ストップ、2回押すと写真撮影です。シンプルとも言えますし、現場で細かい設定がしにくいカメラとも言えます(細かい撮影設定はアプリでやるかケースに入れてメニュー操作)。
撮れる動画はこんな感じ。レンズは広角、撮れるのは手ぶれ補正が効いたTHE アクションカムな映像です。画質については気になる人が多いと思うので後ほど詳しく紹介しますね。
で、すばらしいのがこのケースです。サイズはAppleの完全ワイヤレスイヤホン「AirPods Pro」のケースよりちょい大きいくらいで、ジーンズのポケットにも入りますし、カバンの中に入れておいても邪魔になりません。重量は本体が26.5gで、ケースが63.5g、トータルで100gほど。
そして1つ三役。まず、外部バッテリー&充電器を兼ねていて、本体を入れると充電されます。コネクタはもちろんUSB-C、ガジェット界ではもはや当たり前です。
こんな風に三脚としても使えます。ケースに入れてカバンに放り込んでおけば、突然大事な話をし出したミーティングを途中から記録する、なんてこともできます。ケースのバッテリーから本体に給電が行なわれ、長時間の撮影も可能です。
専用グリップにもなります。出先でいい景色に遭遇したときに、ちょちょっと出して撮れるのが超便利です。
磁気ペンダントを首からぶら下げてInsta360 GO2本体をシャツ越しに貼りつけて撮るのも使い方のひとつ。出かけるときに磁気ペンダントを身につけておけば、いつでも自分の身体にInsta360 GO2を固定して撮影できます。
三脚に立てて撮る/グリップにつけて歩きながら撮る/身につけて動きながら撮る、と3種類の撮り方を軽量コンパクトなものだけで実現しちゃうのがInsta360 GO2のすごいところ。持っておけば、出先で「撮りたい!」という状況に突然出会っても、とりあえず適切な方法で撮影できるのです。
ちなみに、本体には他にもキャップのつばに固定できるクリップや平面に接着できるスタンドなども付属します。幅広い撮り方ができるようになっています。
画質は好み次第なところあり
画質に関しては「スマホで見るなら十分な絵が撮れる」「手ぶれ補正はしっかり効く」というまとめ方になってしまうんですが、個人的には「このサイズ、撮りやすさで絵もここまでいいのか」という感想でした。スマホで見てOKならSNSに投下できますし、後でたまに見返すライフログとしても十分、それだけ撮れればかなり使いどころがあるなと。
とはいえ、カメラにおいて画質は重要な要素なので一応詳しめに紹介しておきます。けっこう細かいので作例だけ見て気になるなら説明も読む、くらいがいいかも。
まず、この動画のように昼間・快晴ではいい感じで撮れると思いました。スマホだと潰れるはずですが、手前(カメラのそば)はディティールもわりとちゃんと描写されます。この動画だと路面の質感などはある程度感じられるのではないかと。
チャリに乗っているにも関わらず、ほとんど映像が揺れていないのもGood。手ぶれ補正が効くのは、スマホに対するアドバンテージです。スマホで移動しながら撮るとなるとInsta360 GO2より総じて大きなジンバルが必要になります。Insta360 GO2を持っておいてそっちで撮るほうが荷物面が楽です。水平もとってくれますし。
比較用にGoPro HERO8で昼間・快晴の日に撮った、似たような動画も載せておきます。ちなみにInsta360 GO2もGoPro HERO8もセンサーサイズは1/2.3インチで同じです。
いちばん差を感じたのは色、Insta360 GO2はGoProに比べると全体的にパサっとしている印象です。空の青みもGoProより控え目ですが、GoProが誇張気味で、肉眼に近いのはInsta360 GO2です(地味とも言いますが)。
解像度の差(GoProは4K→そのままYouTubeにアップ、Insta360 GO2は2560×1440でエクスポート→YouTubeでFHDにダウンコンバート)はスマホだとわかりにくいはずですが、PCだとわかるでしょう。
Insta360 GO2はスマホで見る前提の画質という感じ。こだわりがある人だと選択肢には入ってこないでしょう。
暗いところ・明暗差が激しいところは苦手かなーと思います。これは曇りの日に撮ったものですが、左手の木々の葉が茂っているところは潰れてしまっています。後半に出てくる空と木々の境目なども描写が怪しい感じになっています。光量や光が入ってくる方向などには気を使って撮ったほうがいいです。
街灯やネオンのあるアーケード街で撮ってみましたが、それなりに光があるのもあってか、特に手前を歩いている人はかなりかっちりした感じで写っています。正直、このサイズでこれくらい撮れるのは本当にがんばってると思います。その一方でハイライトが飛びやすく、やはり明暗差は苦手な印象です。フレアも入りやすいかなぁ。
なお、今回はふつうに撮った動画を載せていますが、HDR、タイムラプス、ハイパーラプス、スローモーションでの撮影も可能です。
「回しっぱなし」もできるけど、得意ではない
撮影時間にも言及しておきましょう。本体のみだと最大撮影時間は30分なんですが、動画のクオリティを維持したい場合は10分で撮影をいったん区切ったほうがいいです。これは撮影時間に応じて手ぶれ補正の段階が変わる(端的に言うと長時間撮ると画質が落ちる)ためです。いちばん画質と手ぶれ補正具合を両立した段階(FlowState)で撮影できるのは10分までで、30分で撮ると電子手ぶれ補正のために周辺がクロップされてがっつり解像度が落ちてしまいます(ちなみに、今回の作例はすべてFlowStateで撮っています)。
基本的には小まめに撮影開始/撮影終了を繰り返す、ショートムービーメーカーです。
「動画で撮りたいもの」が見つかっていく、敷居が低いアクションカム
癖はあるんですが、個人的にはかなりいいなぁと。
ぼくは家を出る前は「動画撮りたい!」とはあまり思わないんですが、いざ出かけると「あ、これ動画で撮りたかったな…」というシーンにちょくちょく出会うんです。で、「カメラ持ってない…」「カメラはあるけどジンバルがない…」と悲しい気持ちに。
これを回避するには動画機材を持っていかないといけませんが…アクションカム用のグリップだってそれなりの長さがあります。カバン持たずにふらっと、とはいきません。動画を撮ることに備えると荷物が増え、お出かけそのものの敷居がどうしてもあがってしまいます。
Insta360 GO2はこのあたりを見事に解消してくれます。何せポケットサイズで三脚にもグリップにも据え付けて撮れますから。軽い磁気ネックレスを首にかけておけばウェアラブルカメラとして撮れてさらにフレキシブル。いざ持って出歩いて見ると、やっぱりけっこう撮るんですよね。思いどおりに撮れるとやはり満足できますし、「あー、自分ってこういうのは動画で撮りたいんだなぁ」というのに気づいていきます。自分にはとても合うカメラでした。
そういう意味では「とりあえず動画撮りたい!」という人とは相性いいかもしれません。価格も税込3万6,300円と敷居低めです。自分用に1台買おうかな!