厚みは許容範囲内
まず腕に装着した感想だが、wenaシリーズで「ヘッド」と呼ぶ時計部分が一般的な腕時計と同じである(流用できる)ことに加えて、今回のwena 3はバンドも普通の腕時計と変わらないため、驚くほど腕時計然とした使い心地だ。
手首の内側を自分に向けると、バックル部分のディスプレイが点灯し、そこがスマートウォッチであることが分かるが、消灯していると、もうスマートウォッチであることすら分からない。腕時計のクラシックな使い勝手はそのままに、バンド側にスマートウォッチの機能を集約したい、バックルにすべて内蔵したいという、wenaシリーズが掲げてきたコンセプトは完成したとみていいだろう。
バックル部分にすべて内蔵し、小型化も図られたことで、腕時計として自然に使えるでは、装着感などの面で、まだwena 3を使っていない人、あるいは使い始めてすぐの段階での懸念事項は何だろうか。ひとつはwena 3本体のバックル部分の厚みだろう。wena 3本体のバックル部分の厚みは実測で約9mm。筆者は「許容される範囲だが、厚さがあるほう」と感じる。これは、使用者の腕時計遍歴にもよるので一概には言えないが、これまで革やナイロンベルトなどの腕時計を中心に使っているなら、wena 3のバックル部分は厚みを感じるだろう。
試しに筆者が現在所有している腕時計のバックル部分の厚さ(手首の中央付近の最厚部)を測ってみたが、NATOタイプのストラップ(ナイロンベルト)は6mm、wena 3が9mm(心拍センサー部分は除く)、ダイバーズウォッチのラバーベルトは11mmだった。
バックル部分の厚さの比較。NATOタイプのストラップは6mm、wena 3が9mm、ダイバーズウォッチのラバーベルトは11mmだった例えば、普段からメタルバンドの腕時計を使っている人は、wena 3を取り付けてもそれほど違和感を感じないのではないだろうか。タフな造りをコンセプトとした腕時計やダイバーズウォッチはバンドの厚みも増す傾向にあり、必然的にバックルも厚くなる。筆者は過去、オメガのシーマスターを使っていたが、そうした時計のメタルバンドのバックルと比較すれば、wena 3の厚みは馴染んだ手応えという印象だ。
もっとも、手に馴染んでいても、例えばパソコンのキーボードを打つ際に、左手首だけバックルで持ち上がり、少し違和感があるという点は変わらない。これは慣れの問題ではあるのだが、これまで厚みのあるバックルの腕時計を使ってこなかった人は、留意しておく必要があるだろう。
パソコンのキーボードを打つ際に、左手首だけバックルで持ち上がる。これまで厚みのあるバックルの腕時計を使ってこなかった人は、留意しておく必要があるだろうふたつめの懸念点は耐久性だ。腕時計のバックルは、特にパソコンなどのデスクワークが多いと、最も傷が付きやすい部分といっても過言ではない。筆者も日常的に使用してきた腕時計はもれなくバックルが傷だらけになった。今では、バックルは「傷つけたくない」ではなく、「傷だらけになって当たり前」と考えているが、ディスプレイを搭載し大部分がガラス面になっているwena 3だと、少し事情が違ってくる。
wena 3のディスプレイは表面ガラスにコーニングのGorilla Glassが使用され、傷つきにくさには一定の配慮がなされている。また外側のステンレスパーツはディスプレイからわずかに盛り上がったリブ構造で、平面への接触ではディスプレイが傷つきにくい構造になっている。とはいえ、使用時間が長くなれば、やがてこのステンレスパーツが傷だらけになることが予想される。
これは製品の落ち度というわけではなく、一般的な腕時計のメタルバックル同様に、日常使いをすれば、ピカピカのまま使い続けることは難しいと覚悟しておくべきだ。なお、ミヤビックスからはwena 3用の液晶保護フィルムが発売されているので、心配ならそうした製品の使用を検討するのもいいだろう。