4つの新しいiPhone 13シリーズが発売されました
iPhone 13シリーズは「バッテリーの持ち」が良くなった!
iPhone 13シリーズには、アップル独自開発による最新のシステムICチップ「A15 Bionic」が搭載されています。その高性能が新しいカメラにどう活きているのかについては、編集部・磯氏による詳細なレポートをぜひお読み下さい。
A15 Bionicは、iPhone全体のパワーマネージメントに大きく貢献しています。アップルは先に開催した発表会で、iPhone 13シリーズの4機種が昨年発売のiPhone 12シリーズと比べて、約1時間半から2時間半程度バッテリーの持ちが良くなったと紹介しました。実際に新旧モデルを比べながら、映画・音楽コンテンツを再生してみても、iPhone 13シリーズのバッテリーの持ちが良くなったことが実感できます。
iPhone 13 Pro MaxとiPhone 12 Pro Maxを用意して、SIMカードを外して条件を揃えたうえで、Apple Musicのハイレゾロスレスのコンテンツを1時間再生してみました。結果、iPhone 12 Pro Maxの「4%」に対して、iPhone 13 Pro Maxは「2%」のバッテリーを消費しました。
続いて、Apple TVアプリでHDR対応の映画を2時間再生してみました。どちらもディスプレイの明るさは最大に設定しています。iPhone 12 Pro Maxではバッテリーが「16%」減りましたが、iPhone 13 Pro Maxではやはり半分の「8%」を消耗する結果となりました。
交通機関による長時間の移動時など、iPhoneを充電しづらい場面でもバッテリー残量を気にすることなく、動画や音楽をリラックスして楽しめることには大きなメリットがあると思います。
音楽再生を心地よく楽しめるiPhone 13 mini
4つの新しいiPhone 13の中から、筆者が「音楽プレーヤー」として最も魅力を感じた1台は「iPhone 13 mini」です。コンパクトで取り回しがよく、5G対応の携帯電話通信、Wi-Fiを併用しながらApple MusicやAmazon Musicのような音楽ストリーミングサービスをいつでもどこでも手軽に楽しめる完成度の高い携帯音楽プレーヤーだと感じました。
アップルの音楽配信サービスであるApple MusicとiPhoneの相性は言うまでもなく最高です。iOS 15では、Apple Musicに関連する大きなアップデートが2件実施されました。2件ともに、豊かな立体音楽体験が楽しめる「ドルビーアトモスによる空間オーディオ」に関連する新機能で、いずれもiPhone 13 miniによる音楽リスニングを楽しくしてくます。
1つは、空間オーディオに対応するコンテンツを、iOS 15を入れたiPhoneとAirPods Pro/AirPods Maxによる組み合わせで聴いた場合、「ダイナミック・ヘッドトラッキング」機能が使えるようになったことです。
ダイナミック・ヘッドトラッキングは、ユーザーが顔と体を向けている方向をリアルタイムにトラッキングしながら、正面、周囲から聞こえてくる音をあるべき位置に定位させてリアルな臨場感を再現する機能です。空間オーディオ対応の楽曲から、まるでライブ会場やコンサートホールで聴いているように、いっそう豊かな広がりが感じられます。
もうひとつは、オリジナルが左右2チャンネルのステレオ音源として制作された音楽、または動画コンテンツの音声を「空間オーディオ化」するアップミックス機能が追加されたことです。こちらは、Apple Musicで配信されている楽曲に限らず、SpotifyやAmazon Music、YouTubeの音声などでも効果が得られます。この機能は、iOS 15を導入したiPhoneとAirPods Pro/AirPods Maxによる組み合わせの時に有効になります。
iPhone 13 miniは手のひらサイズのハイレゾ音楽プレーヤーにもなる
Apple Musicでは、今年の6月からロスレスとハイレゾロスレスによる高音質ストリーミングに対応するコンテンツを追加しました。iPhone 13 miniのLightning端子に接続するアクセサリーを活用すれば、それぞれの楽曲を最高のコンディションで聴くことができます。
CD品質(44.1kHz/16bit)、またはApple Musicではロスレスとして定義されている最大48kHz/24bitまでの音質の楽曲であれば、Lightning端子に直結できるDAC内蔵ヘッドホンアンプを一体化したイヤホンがシンプルに扱えるのでおすすめです。アップル純正のEarPods with Lightningも良いイヤホンですが、シリコン製イヤーチップによる高い密閉感が得られるRHAの「MA650i with Lightning」もLightning直結の良いイヤホンとしておすすめできます。
Lightning-USBカメラアダプタにハイレゾ対応のUSB-DACを内蔵するヘッドホンアンプと、同じくハイレゾ対応のイヤホン・ヘッドホンを接続すると、Apple Musicで配信されている最大192kHz/24bitまでのハイレゾロスレス音源の実力を引き出せます。
国内の大手携帯通信キャリアは、今年の春からSub-6方式による5G通信に対応し、毎月20GBのデータ量が利用できる低価格プランも始めています。屋外でApple Musicの音楽ストリーミングを楽しむ際には「ミュージック」アプリの設定に入り、「オーディオの品質」からモバイル通信ストリーミング時のリスニング設定をAAC 256kbpsの「高音質」か、または「高効率」にしておけば、データ量の消耗をあまり気にせずゆったりと音楽リスニングが楽しめます。設定をロスレスにすると、1時間のアルバムを聴くと約720MB、ハイレゾロスレスであれば約2.9GBもデータ量を消費してしまうので、大容量プランを利用している場合でも油断は禁物です。
迫力の動画再生が楽しめるiPhone 13 Pro Max
動画再生については、シリーズ最大サイズとなる6.7インチのSuper Retina XDRディスプレイを搭載する「iPhone 13 Pro Max」がベストチョイスになると思います。前述の通り、HDR対応のモバイル映画コンテンツを視聴し続けても、バッテリーの残量を気にすることなく、明るく色鮮やかな動画がゆったり見られるパワフルなiPhoneです。
新しいiPhone 13シリーズは最大サイズのMaxに限らず、内蔵スピーカーの音質が向上していました。4機種とも、ノッチのデザインが変更されたことに伴い、フロント側トップスピーカーの開口部の形状と配置が変わりました。おそらく、このデザイン変更に伴う最適化を各所でチューニングし直したことで、音像の定位がより鮮明になっています。Apple Musicで音楽を聴いてみると、やはり左右の音のバランスがより自然に感じられます。空間オーディオ対応の音楽コンテンツは、奥行きや高さ方向の見晴らしがスッキリとしました。Apple Musicで配信されているミュージックビデオの没入感も一段と高まります。
Proシリーズが搭載するProMotionテクノロジーの効果とは
上位のiPhone 13 Proシリーズには、ディスプレイに表示するコンテンツに合わせてリフレッシュレート(画面を書き換える頻度)を10Hzから120Hzの間で自動的に可変するProMotionテクノロジーが初めて採用されました。
120Hz対応のモバイル向け動画コンテンツやゲームなどがまだ数少ないため、120Hz駆動の大きなメリットのひとつである「滑らかな動画表示」が実感される場面は限られますが、それでもProMotionテクノロジーの恩恵が伝わる場面がほかにもあります。
例えば文字量の多いウェブページ、あるいは電子書籍のページを素速くスクロールした時の文字のチラつき感が抑えられます。目の疲れが軽減されるので、iPhoneでニュース系のコンテンツや電子書籍を頻繁に読む人は、ぜひ13 Proシリーズを試してみることをおすすめします。
また、ディスプレイの表示に動きが少ない時にはリフレッシュレートを最小10Hzにまで抑え込むため、バッテリーの消費も少なくなります。13 Proシリーズのバッテリー持ちの向上に、ProMotionテクノロジーが貢献しているといえそうです。
「探す」アプリに対応する新MagSafe対応レザーウォレットを使ってみた
さて、最後に話題を少し変えて、iPhone 13シリーズと同時にアップルが発売したMagSafe対応の新しいiPhoneレザーウォレットを紹介したいと思います。
新しいMagSafe対応レザーウォレットは、アップルの「探す」ネットワークを使って探索できる機能が追加されました。
初めてレザーウォレットをiPhoneに装着すると、アニメーションが起動。ガイダンスに従ってセットアップを進めていくと、iOSの「探す」ネットワークにユーザーの「デバイス」として登録されます。
「探す」アプリを開くと、ユーザーのiPhoneやiPadが並ぶデバイスのリストにレザーウォレットが並びます。タップするとメニュー詳細が開くので、「取り外されたときに通知」をオンに設定します。すると、iPhoneから1分間以上レザーウォレットが外れている状態の時に、iPhoneに通知が届いて速やかに知らせてくれます。うっかりレザーウォレットだけを紛失した時にあると便利な機能です。
設定で「電話番号を表示」の機能もオンにしておけば、拾ってくれた人からの連絡を待つこともできます。春に発売された紛失防止トラッカーの「AirTag」では、拾った人がAirTagにNFC対応のスマホをかざすと電話番号やメールアドレスが伝わる仕組みを採用しています。新しいレザーウォレットの場合、拾った人がウォレットをiPhoneに装着すると登録されている電話番号が表示されます。MagSafeに対応するiPhone 12シリーズ以降の端末が必要になるため、少し敷居が高くなるかもしれません。もちろん、紛失したウォレットの現在地をアプリのマップで調べて自力で探すことも可能です。
ケースやバッテリーパックなど、アップル以外のサードパーティーの製品を含むMagSafe対応アクセサリーが徐々に充実してきました。iPhone 13シリーズは、iPhone 12シリーズと側面のボタンやサイレントスイッチの位置が少し違うので、新旧ケースで互換性がありません。また、背面のカメラユニットのサイズが少し大きくなっているので、背面の占有面積が大きいアクセサリーも流用できない場合があるので注意しましょう。
オーディオ・ビジュアルコンテンツを楽しむために、ひと工夫ができる新しいMagSafeアクセサリーの誕生にも期待したいと思います。
著者 : 山本敦
やまもとあつしジャーナリスト兼ライター。オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。独ベルリンで開催されるエレクトロニクスショー「IFA」を毎年取材してきたことから、特に欧州のスマート家電やIoT関連の最新事情に精通。オーディオ・ビジュアル分野にも造詣が深く、ハイレゾから音楽配信、4KやVODまで幅広くカバー。堪能な英語と仏語を生かし、国内から海外までイベントの取材、開発者へのインタビューを数多くこなす。
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