RCS(Rich Communication Services)はアンドロイド業界を統合するはずでした。しかし、Verizon(ベライゾン)、AT&T、T-Mobileの3社がいずれもこの統一メッセージング・プラットフォームへの取り組みを放棄したというニュースを受けて、iMessage風のAndroidメッセージングサービスはさらなる激動の時代となりそうです。
通信サイトのLight Readingによると、先述の米大手キャリア3社は2020年までにRCSを標準化することを目的とした「Cross Carrier Messaging Initiative(CCMI)」から撤退しました。
CCMIは2019年にSprint(スプリント)が主導したコンソーシアムで、AndroidユーザーがApple(アップル)のiMessageのようなプラットフォームを使えるように、RCSに依存したメッセージングアプリを開発するためのコンソーシアムでした。RCSは高度なメッセージング機能を可能にし、海外市場ではすでに標準化されています。そしてRCSはiMessageユーザーが長年にわたって享受してきた既読通知、高品質なメディア、優れたグループ会話などの機能を実現します。CCMIはAndroidユーザーがダウンロードできる別のアプリを開発し、これらの機能を相互に利用できるようにすることを考えていました。
しかしCCMIは、発表された瞬間に暗礁に乗り上げてしまいました。Google(グーグル)は、AndroidによるRCSのサポートを長年主張してきましたが、最初のCCMIのプレスリリースには同社の名前すらありませんでした。その後、CCMIの旗手であったSprintがT-Mobileの傘下に入りました。さらにグーグルのMessagesをはじめとするRCS対応のメッセージングアプリがPlayストアに登場し、プラットフォームの分断化に拍車をかけました。
この問題について米国の3大キャリアは比較的沈黙を守っていますが、ベライゾンはLight Reading誌の取材に対して「責任はCCMIのオーナーにある」と述べています。
今のところ、RCSに本格的に取り組んでいるのはT-Mobileだけで、今後は同キャリアで購入したすべてのスマートフォンのデフォルトメッセージアプリにする予定です。しかし、それだけではAndroidユーザー間の相互運用性の問題は解決しません。VerizonとAT&Tはそれぞれのネットワークで販売される端末に、独自のメッセージングアプリを提供しています。また両キャリアはRCSへの取り組みを表明していますが、それはそれぞれのネットワーク内でのチャットに限定されています。
RCSは現在もテキストメッセージの送信に使用されているSMSの次世代版として、2008年に発表された規格です。しかしSMSはかなり時代遅れの技術であり、WhatsAppのようなアプリはその高度な機能により人気を博しています。グーグルはRCSの最大の支援者であり、ミドルウェア企業であるJibeを買収してMessagesに組み込み、互換性を高めようとしています。
すべてのAndroidユーザーに真の意味でのRCSの互換性をもたらす唯一の方法は、キャリアがすでにサポートしているアプリをデフォルトとし、それ以外のアプリをゴミ箱に捨てることです。しかしキャリアがRCSで収益を上げる方法を見つけていないため、そうはならないでしょう。また、iOSデバイスとのチャットの問題も解決していません。Apple(アップル)はこの規格をサポートしていませんが、これはおそらくiMessageをアップルデバイス専用にするためでしょう。
Androidユーザーは長い間、同プラットフォーム上のメッセージエコシステムが孤立していることに不満を抱いていました。Androidユーザーとしてこれに対処する最善の方法は、Messagesアプリをデフォルトに設定して、こうした複雑な取り組みに抗議することでしょう。どうやらグーグルはそれに賭けているようです。