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iPhone XS/XRの進化の要はカメラとマシンラーニング。健康のためのApple Watch

沿って mobilephones 28/03/2022 1032 ビュー

Apple Watchは「まさか」に備えるデバイスになっていく

さて、今回の発表会といえばiPhoneでしょ……といいたくなるところだが、ここはあえて発表会の順番通り、Apple Watchの話から始めたい。実のところ、今回の発表の中でも筆者にとって一番大きなインパクトがあったのは、Apple Watchの「あり方」について、アップルがひとつの答えを示したように感じたことだった。

Apple Watch Series 4。スペックなどがかなり大きく変わり、見た目もリニューアル。しかし、変化の軸は「使い方」「ありよう」そのものにあった

新製品である「Apple Watch Series 4」は、昨年のセルラーモデル導入に続き、Apple Watchとしては2年連続のフルモデルチェンジ、といえる大きなものだった。ディスプレイが30%以上大きくなり、「38mm」「42mm」から「40mm」「44mm」になり、薄くなって外観の印象も変わったのだが、そうした部分よりも、やはり中身の変化の方が大きな意味を持つ。

ディスプレイサイズが大きくなり、非常に見やすくなった。42mmを使っていた人が「今度は40mmでいいかも」と思うくらい、サイズ感が変わっている

例えば、加速度センサーの精度向上は、急な手の動きが「スリップによる転倒」か「つんのめっての転倒」かそれとも単に手が動いただけなのかを判断できるようになった。これは、不意の事故を検出し、大きな怪我だった場合、「できる限り早く」緊急通報を行なうための仕組みである。

モーションセンサーの高度化によって、「転倒かそうでないか」をはっきり識別可能に。こうした判定が難しい、というのは意外だった

iPhone XS/XRの進化の要はカメラとマシンラーニング。健康のためのApple Watch

心拍センサーの機能が強化され、異常な低心拍の検出が可能になっている。これは、心房細動のような異常を検知し、やはり、「できる限り早く」必要な対処をとれるようにするためのものである。

心拍センサーの扱いが強化され、「異常に低い心拍」も検出

Digital Crownを30秒間触ることで心電図を計るという能力が搭載されたのも、考え方は同じである。問題が起きた時、医師が対処するための情報を、特別な機器がない場所でも取得する方法を用意することで、「できる限り早く」必要な処置や判断が行えるようになる。

Digital Crownを使った心電図計測の機能も搭載に。ただし、実装はアップデート後になる

Apple Watchは2014年に登場した時、ある部分、「ポストスマートフォン」的な役割、すなわち「電話を持たずに腕時計だけで暮らすような世界」を世の中に期待された部分があった。もちろん、それは難しい話であり、過大な期待でもあった。ある種話題先行だった時代が過ぎ去り、気がついてみれば、より地道で必要とする人の多い「フィットネス」を軸にした製品として定着している。

一方で、フィットネスにはそれほど興味がない人もいるだろう。では、そうした人々にApple Watchをつけてもらうための方法はなんなのか?

そこでアップルが考えたのが「万一のためのアシスタント」としての要素なのだ。腕につけておき、普段はiPhoneからの通知を受けたり、音楽を聴いたり、フィットネスの情報を知ったりするのに使いつつ、「いざという時の助け」のために、自分の生体データを記録しておいてくれるデバイスとしても働く……。これが、アップルが見つけた「より良いスマートフォン・コンパニオン」としてのApple Watchの姿なのではないだろうか。

ここで重要なのは、心拍などが計れることは、フィットネスでの活動量とは異なり、「自分でそれを見て健康になる」ための情報とは異なる。特に心電図の機能については、あくまで医療機器として「医師が判断する情報」として、「医師のすすめとともに」使うものだ。だから、医療機器認定は必須で、今回もアメリカ向けにFDA(アメリカ食品医薬品局)の認可を得た、と説明された。日本でも厚生労働省を含めた各機関や医療関係者との話し合いと検証が必要であり、この部分はすぐに使えるようになるわけではない。

心電図機能は医療機器認定と、医師・医療機関との連携が必須。そのため、アメリカでのFDA認可が発表された。日本での動向は公開されていないが、これから進めていくものと思われる

現状、日本のApple Watchの製品ページに書かれている機能一覧には、アメリカで説明された機能のいくつかが記載されていない。その理由はここにある。こうしたことはある種長期戦であり、年単位での時間が必要なこともある。その点に留意が必要だ。だが長期的に見れば、日本でもApple Watchに代表されるスマートウォッチが、「それだけで健康になるわけではないが、いざという時のリスクに備えるための機器」として認知される時が来るだろう。

なお、健康のための支えとしての機器、という考え方が進む背景には、アメリカの医療保険制度との関係も無視できない。アメリカは日本と違い国民皆保険ではなく、医療費が高額になる。だからスポーツで健康を維持する考え方が根強いし、仮に体が不調になった時でも、症状の深刻化や治療の長期化を防ぐために投資することが「費用負担として望ましい」と考えられている。だから、Apple Watchのような製品が、日本以上に受け入れられやすい土壌があるのである。

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