ライフハッカー[日本版]2021年8月21日掲載の記事より転載
iOS 15とiPadOS 15の優れた新機能の中には、新しいデバイスでしか使用できないものがあります。
このアップデートの機能を利用するには、2018年以降に製造されたiPhoneかiPadのモデルが必要です。
今回更新された機能の中には、ハードウェアの対応が必要なものがあり、それは、少なくともA12 Bionicチップを搭載したデバイスでなければ利用できません。
その理由と、旧モデルのiPhoneでは利用できない機能についてご説明します。
iOS 15にA12 Bionicチップが必要な機能がある理由
iOS 15の機能の中には、没入感のあるナビゲーションなど、非常に多くの処理能力を必要とするものがあります。
一定レベルのユーザー体験をスムーズに提供するために、機能によっては特定のApple製チップが必要です。
iOS 15で、AppleのA12 Bionicチップとそれ以降のチップに最適化された機能を使用するためには、少なくともiPhone XSが必要となります。参考までに、A12 Bionicチップを使用しているデバイスは次の通りです。
・iPhone XSシリーズ(2018年)
・Phone XR XR(2018年)
・iPad Pro(2018年)
・iPad 6(2018年)
・iPad Air 3(2019年)
・iPad mini 5(2019年)
2018年以降に製造されたiPhoneやiPadを使用しているなら、iOS 15に特有の機能を使えるはずです。
では、新しいデバイスでしか使えないiOS 15の機能とは具体的にどのような機能でしょうか?
以下にそれをご紹介します。
1.Appleマップ:没入感のある拡張現実のナビゲーション
iOS 15のAppleマップでは、拡張現実(AR)による没入感あふれる徒歩用ナビゲーションが可能になりました。
デバイスのカメラで周囲の建物やインフラをスキャンするだけで、狭い曲がり角や横断歩道などを含む詳細な道案内をしてもらえます。
対応デバイスを持って徒歩で移動する場合、ARを使った詳細なナビゲーションがあると、間違いなく目的地に早く到着できます。
2.Appleマップ:インタラクティブな3D地球儀
iOS 15で刷新された「マップ」アプリには、インタラクティブな3D地球儀が搭載されており、ズームしたり、好きな方向に回転させたりして、「地球の自然の美しさを発見する」ことができます。
新しい地域を発見するのに便利な機能ですが、iPhone XS以降が必要です。
3.Appleマップ:さらに詳しくなった市街地マップ
iOS 15のAppleのマップは、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ニューヨーク、ロンドンなどの都市で、より詳細な地図を提供しています。道路、樹木、建物、標高など、すべての情報がこれまで以上に詳細に表示されます。
さらに、ゴールデンゲートブリッジのような主要なランドマークが3Dオブジェクトとしてレンダリングされるようになりました。詳しい市街地マップは、A12 Bionicチップ以降を搭載したデバイスでのみ表示されます。
4.コンピュータービジョン:ライブテキスト
iOS 15の新機能の中で最も優れていると言えるのが、「ライブテキスト」です。
「ライブテキスト」は、画像からテキストをコピーして別の場所に貼り付けるリアルタイムのOCRスキャナーです。
ウェブ画像、自分で撮った写真、カメラアプリのライブ動画フィードからテキストを検出することができます。
この優れた機能は互換性のあるデバイスであればリアルタイムで動作することは、前述の通りです。
5.「写真」アプリ:Visual Lookup機能
iOS 15の「写真」アプリでは、画像を取り出して、認識されるあらゆるものや状況の詳細を調べることができます。この機能は、本、ペットの品種、人気のあるアートやランドマークなど、さまざまなアイテムに対応しています。
6.FaceTime:ポートレートモード
カメラアプリのポートレート撮影と同じように、FaceTimeのビデオ通話中に背景をぼかして自分の顔にフォーカスするポートレートモードが利用できるようになりました。
FaceTimeのポートレートモードは、背景にある目立つものを隠して、ユーザーを最高の状態で映してくれます。ただし、この機能を使用するには、2018年以降のiPhoneかiPadが必要です。
7.FaceTime: 空間オーディオ
さまざまな方向から音声が聞こえてくるようにする「空間オーディオ」という技術が、FaceTimeに採用されました。これにより、Appleの言葉を借りると「より自然で、快適で、臨場感がある」通話が実現されます。
iOS 15では、オーディオ効果を使って参加者の声を拡散させ、まるで画面に映る人たちの音声が、それぞれの位置から聞こえているようにします。
8.Siri:デバイス上でユーザーに合わせたパーソナリゼーションが可能に
iOS 15のSiriは、ユーザーが読むものを通して、ユーザーについて学習する能力が高くなりました。また、クラウドにユーザーに関する情報を一切送信せずに、その情報をもとにパーソナライズされた体験を生み出します。
例えば、ユーザーがよくやり取りする連絡先をSiriが学習して、役立つ提案を臨機応変に提供します。
また、Siriのインテリジェンスは、ユーザーが入力した新しい単語を学習することで、iPhoneのオートコレクト機能を向上させます。
9.Siri:ネットに接続せずデバイスでの音声処理が可能に
iOS 14以前のバージョンでは、Siriがユーザーの言葉を理解するためには、ユーザーの音声をAppleのサーバーにアップロードして、分析して解析し、プレーンテキストに落とし込む必要がありました。
iOS 15では、この音声からテキストへの変換処理をデバイスがオフラインで行います。
デバイスで音声処理を行うと、サーバーに接続して行う音声認識に比べてSiriの動作が速くなり、プライバシー保護の点でも向上します。
一方で、テキストをリアルタイムで音声化するにはCPUの力が必要なので、iPhone XS以降のモデルが必要になります。
10.Siri:オフライン対応
iOS 15のSiriは、タイマーやアラームの設定、設定の変更、メッセージの送信、通話の処理などを、インターネットに接続せずに行うことができます。
Wi-Fiが無くてスマホの電波が届かないところに行くことが多い人には嬉しい機能ですね。
11.iPhone/iPad/Mac間のユニバーサルコントロール
ユニバーサルコントロールを使えば、何も設定しなくても、MacとiPadの間でキーボード、マウス、トラックパッドを共有できます。iPadで使用するには、A12 Bionicを搭載したモデル、つまりiPad Pro、iPad Air 3、iPad 6、またはiPad mini 5以降が必要です。
12.ウォレット:デジタルキーとして自宅、ホテル、オフィス、車のドアのロックを解除
Appleは、Walletアプリが物理的な財布の代わりになることを目指しています。iOS 15では、HomeKitと互換性のある自宅、会社、ホテル、車のドアロックのデジタルキーに対応する予定です。
そのため、自宅、会社のオフィス、ホテル、車のドアのロックをさっとシームレスに解除することができます。
この機能が利用できるかどうかは、デバイスや場所によって異なります。
Walletによるデジタルキー対応は、iPhone XS以降に限定されており、iPadでは引き続き利用できません。さらにAppleは、この機能を利用するデバイスの要件は、ホテルや職場によって異なる可能性があるとしています。
13.「天気」アプリ:新しいアニメーション背景
iOS 15に搭載されたより美しい「天気」アプリには、何千ものバリエーションを持つ動的な背景が使用されており、Appleによると、太陽の位置、雲、降水量などを正確に表現しています。こうしたアニメーション背景を表示するには、A12 Bionicチップまたはそれ以降のチップが必要です。
その他のiOS 15の機能の制限
互換性のあるiPhoneかiPadがあっても、上記の機能を必ず利用できるというわけではありません。また、iOS 15の機能は地域によって異なります。
例えば、健康データの共有や血糖値の分析は、当面は米国のみで利用できる機能です。
同様に、地図アプリの空気質指標は、現在のところ、米国、英国、カナダ、ドイツ、フランス、その他の少数の地域に限られており、今から1時間後の降水量を通知する機能も、現在のところ米国、英国、アイルランドでしか利用できません。
Appleのウェブサイトに掲載されている便利なサポートドキュメントは、今回の更新がリリースされると、iOS 15とiPadOS 15の機能の利用可能性を反映して更新されます。
HomeKit Secure Videoなどの機能を利用するには、iCloud有料プランが必要になる場合があります。
また、対応するスマートホーム家電を購入しないと、iOS 15にビルトインされたSiriなどの機能を使うことができません。また、Siriに時間に正確な通知をアナウンスしてもらうことは、第2世代のAirPods、AirPods Pro、AirPods Maxに限って可能です。
Walletアプリに物理的な鍵を追加するなどの機能に必要なデバイスは、ホテルや職場によって異なる場合があります。そして、何よりも、ここでご紹介した機能は、2021年後半にiOS 15が一般公開されるまで利用できません。
iOS 15は2021年後半に一般ユーザーが利用できるようになり、それに伴い以下の機能も利用可能になります。
・Hide MyEmail:ユーザーの個人的な受信箱にメールを転送するランダムなメールアドレスを生成する機能が、2021年後半の更新で利用できるようになります。
・Walletアプリのデジタルキー対応:Walletアプリが物理的な鍵の代わりになる機能がiOS 15の発表後に予定されています。
・IDをWalletに追加:2021年後半に、運転免許証や州のIDをWalletに追加できるようになる予定です。
・詳細な市街地図:2021年後半には、より詳細な地図がCarPlayに登場します。
アプリのプライバシーレポート: iOS 15では「設定」に新しいセクションができる予定です。
旧モデルのiPhoneでもアップグレードしてみよう
最後になりますが、iOS 15とiPadOS 15はまだベータ版であることを忘れないでください。現時点では、機能が変更される可能性があり、ベータ版のリリースごとに変更されるかもしれません。
その好例がSafariのインターフェースです。ユーザーからのネガティブなフィードバックを受けて、Appleは第3ベータ版でわかりにくいタブ設定を変更しました。
iOS 15が公開されるまでには、さらにいくつかのベータ版が用意されています。
iOS 15は2021年後半に公開される予定で、おそらく9月の新しいiPhoneに先行して公開されることになるでしょう。
Original Article: 13 Features in iOS 15 That Don't Work on Older iPhones by MakeUseOf