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製品ではなく“顧客の体験”に注力しなければ生き残れない

沿って mobilephones 04/01/2023 514 ビュー

――LenovoのCCEOの役割について教えてください。

バティア氏(以下敬称略): 私は初代のCCEOであり、役割はプロダクトを中心とした従来のカルチャー(文化)を顧客を中心としたカルチャー、体験を中心としたカルチャーへと変化させる「推進役」です。

――なぜ、Lenovoは、体験中心のカルチャーに変わろうとしているのですか。

バティア: 一言でいえば、今や生き残ることができるブランドは体験を追い求めるブランドだけだからです。市場調査会社のガートナーは、「2020年には顧客体験こそがブランド差別化の最大の武器になり、価格や製品による差別化を脇に押しやることになる」と語っています。その考えは私も同じです。

――「レノボ カスタマ エクスペリエンス ビジョン」とはなんですか。

バティア: 体験を重視し、ロイヤルカスタマーを獲得するには、顧客から聞く「Listening」、顧客から学び「Learning」、顧客の体験を改善する活動を毎日続ける「Improve」の3つが大切です。これに取り組むのが、「レノボ カスタマ エクスペリエンス ビジョン」です。

<1つめのListeningにおいては、顧客の声を聞くためのさまざまな方法を用意しています。

<2019年6月にイタリア・ローマで開催した会合では、90人のロイヤルカスタマーに集まってもらい、2日間に渡ってLenovoから今後のロードマップの説明を行ない、どんなフィーチャーを提供するのかを示し、それに対して気に入った点、気に入らない点など、率直な意見を聞きました。また、フォーカスグループによるインタビューでも新たなデバイスに対する意見をもらっています。最近では、折りたたみ式デバイスや、デュアルディスプレイに対する意見も聞きました。

レノボ カスタマ エクスペリエンス ビジョン

――具体的にはどんなかたちで製品開発に反映しているのですか。

バティア: ThinkPadは、日本の大和研究所で開発していますが、エンジニアたちは、ここから情報を入手して、商品化に反映しています。

製品ではなく“顧客の体験”に注力しなければ生き残れない

ThinkPad X1 CarbonThinkPad Yoga

――こうした取り組みを開始したきっかけはなんですか。

バティア: もともとThinkPadには、カスタマ アドバイザリ カウンシルのような仕組みがありました。ただ、これは大手企業にフォーカスして意見を聞くというものでした。

真のインサイト

――その一方で、多くの意見が集まり、どの意見を採用するのかといった取捨選択で迷うことはありませんか。

バティア: Lenovoの社員は、年間2,000万件のコメントを分析した結果を、カスタマーインサイトダッシュボードで見ることができます。ここでは、顧客が求めている上位5つの要素が上がってくる仕組みになっており、これを参考に、いまのPCにはどんな要素が求められているかがわかります。また、すべての顧客の声は機種ごとに機械学習を活用して分類し、-10点から+10点までの評価をつけることができます。

顧客フィードバックをグローバルに社内展開ThinkPad X1 Fold

――グローバルの視点から見れば、日本のユーザーからの声は、品質面などで過剰すぎる部分はありませんか(笑)。

バティア: 私は、かつて別の会社に勤めていたことがあったのですが、その会社では、新製品を出すさいに必ず日本にプロトタイプを送り、問題をすべて洗い出してもらい、対処策を講じてから世の中に出すということをしていました。

――顧客の声を聞いた結果、PCをはじめとする各種デバイスの開発では、今後どんな点が重要になりますか。

バティア: 顧客の声を聞いた結果、ユーザー体験の基本軸は、「時間」、「楽しさ」、「コネクション」の3つに集約されると考えています。また、あちこちに散らかった情報を簡単に探せる体験を求めており、そのための解決策が必要です。

――体験にフォーカスしたカルチャーは、Lenovo社内にどこまで定着したと判断していますか。

バティア: エクスペリエンスを提供するためには、聞いて、理解して、学び、感情に同調し、常に改善のアプローチをすることが大切です。そのためには、顧客の声を聴く仕組みやツール、それを活用する社員のスキル、そして、つねにエクスペリエンスを意識する社員のマインド、企業への文化としての定着が必要だと言えます。

<1995年以降に生まれたZ世代が、どんどん労働市場に入ってきています。彼らは、40代、50代とは異なったテクノロジーへの接し方をしており、その変化に順応しなくてはなりません。

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